理事長ごあいさつ
請求事務従事者の資質の向上を
我が国の医療費は、厚生労働省の公表によれば令和3年度の国民医療費は約45兆円、人口一人当たりの国民医療費は約35万円となっており、保険医療機関から請求されるレセプトも膨大な件数が請求されているところです。
このレセプトの作成を中心とする診療報酬請求事務は、近時、電子レセプトの普及はあるものの膨大な量となって、その業務を外部に委託する医療機関も増加しているのが現状であり、請求事務を迅速かつ正確に行うことができる人材の育成・確保が望まれます。当協会は、厚生労働省が設置した「診療報酬請求事務等に関する検討委員会」の報告書に基づき平成6年2月に設立された公益法人(当時)であり、診療報酬請求事務能力認定試験を行うなど、請求事務従事者の資質の向上を図ることを目的として活動しています。なお、当協会は、平成25年4月1日から公益財団法人として内閣府より認定されました。
我が国の医療保障体系は、国民皆保険、医師の自由開業制、被保険者の医療機関自由選択制、出来高払い制度などを基本としながら構築されてきております。ご承知のとおり出来高払い制度は診療行為と診療に使われるものを個別に評価して積み上げていく方式であり、その時々に医学や医療技術の進歩を診療報酬改定の際に採り入れ易いというメリットがあるものの、医療の高度化等に伴いあまりに複雑過ぎるという批判もあり、近年、慢性疾患や高齢者に対する治療等に一部包括払いを導入し、更に平成15年4月から急性期入院医療に係る包括支払方式(DPC)が導入されています。いずれにしても、診療報酬の複雑な仕組みを正しく理解することが、制度運営の基本のひとつと言えますし、請求事務が専門性を要求される質の高い業務であり、適正な請求は医療保険制度の円滑な運営に寄与するものであると考えます。
このような業務に携わる方々の質を担保し、保険医療機関の需要に応える方向で努力することが私どもの義務であり、認定試験に合格された方々がそれぞれの職場で、その意義を十分に理解され実力を発揮されることが期待されています。
受験される皆様方の一層のご奮闘をお祈りいたします。